けん引車(トラクター)とは、自車に荷台を持たず、荷物を積載した「トレーラー(被牽引車)」を連結して牽引するための動力付き運転車両です。大量・長距離輸送の効率化に不可欠な、幹線輸送の主役を担っています。
仕組みとしては、運転席とエンジンを備えた「トラクター」が、後部に荷台となる「トレーラー」を連結して走行します。代表的な種類には、荷重の一部をトラクターに支えさせる「セミトレーラー」や、独立した「フルトレーラー」などがあります。最大のメリットは、運行と荷役(積卸し作業)を分離できる点にあります。目的地でトレーラーを切り離せば、ドライバーは積卸しを待たずに別のトレーラーを連結して即座に出発できるため、稼働率を劇的に高められます。一方、車両が長く、右左折や後退には「けん引免許」が必要とされる高度な運転技術が求められること、および初期投資の高さがデメリットです。
近年の物流業界において、ドライバー不足が深刻化するなか、1台で大型トラック2台分の輸送力を誇る「ダブル連結トラック」を牽引する車両の導入が急速に進んでいます。また、物流DXの進展により、高速道路における「自動運転・隊列走行」に対応した高度なコネクテッド機能を持つトラクターの実用化も始まっています。さらに、グリーンロジスティクスへの対応として、走行中にCO2を排出しないEV(電気)やFCV(水素)を動力源とする新型けん引車の普及も本格化しています。