トータル物流費


トータル物流費とは、外部業者へ支払う「支払物流費」だけでなく、社内の人件費や設備費、在庫金利などに潜む「社内物流費」までをすべて合算した、企業活動における真の物流コストの総額を指します。

従来の会計制度では、物流に関わるコストの多くが販売管理費や製造原価などの他科目に混入し、正確なコスト把握が困難でした。トータル物流費は、受注処理を行う事務員の人件費やシステムのリース料、営業担当者による配送や棚卸の工数、自社倉庫の維持費などを「社内物流費」として抽出し、支払物流費と合算したものです。これにより、物流全体のコスト構造を正しく可視化でき、部分最適ではなく企業全体の「全体最適」の視点でコスト削減や業務効率化を進められます。また、配送頻度の変更や在庫配置の見直しが、全体のコストにどう影響するかを定量的に評価できるメリットもあります。一方で、各部門から物流に関わる費用や工数を正確に抽出・集計するためには、社内横断的なルール作りと手間が必要になるという点が課題です。

物流における労働規制の強化やドライバー不足に伴う運賃や人件費の高騰への対策として、トータル物流費の精緻な把握は不可欠です。近年はAI搭載のERPや物流管理システム(TMS/WMS)の普及により、見えにくかった社内物流工数の自動集計や可視化が進んでいます。さらに、脱炭素(グリーンロジスティクス)に向けたCO2排出量削減とコストのトレードオフを検証し、持続可能な物流体制を構築する上でも重要な指標となっています。


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