車上渡しとは、運送トラックの荷台(車上)で荷物を引き渡す納品条件のことです。目的地までの配送はドライバーが行いますが、荷台から荷物を下ろす荷役作業やそれ以降の運搬・設置は、すべて受取人(荷受人)が自身の責任と費用で行うのが原則となります。
この方法は、重量物や大型の機械、建築資材、パレット貨物などのBtoB輸送で広く採用されています。配送側のメリットは、ドライバーが荷下ろしを行わないため運賃を抑制でき、車両の回転率を高められる点にあります。一方、受取人側はフォークリフト等の重機や作業人員を自前で手配する必要があり、荷下ろし中の事故や破損リスクも自社で負うというデメリットがあります。類似する「軒下渡し」は建物の入り口までドライバーが運ぶ方法ですが、車上渡しはさらに手前である荷台上で双方の責任分解点を明確にする取引基準として機能しています。
物流の労働時間規制に伴うリソース不足への対策として、車上渡しはドライバーの負担軽減と手待ち時間削減の切り札として再評価されています。標準運送約款に基づく「運送と荷役の分離」の徹底が進んだことで、車上渡しを基本とした契約改定が業界全体で定着しました。さらに、受取側でのバース予約システムの導入や、フォークリフトの自動化・電動化、荷下ろしロボットといったDX技術の普及により、ドライバーに依存しない安全かつクリーンな荷役体制の構築が進んでいます。