瀬取り(せどり)とは、港湾の岸壁に係留せず、洋上や河川などの水上で、船から別の船へ直接貨物を積み替える荷役作業のことです。主に、大型の親船から港湾に接岸可能な小型の子船や艀(はしけ)へ荷物を移す際に用いられます。
この手法は、水深が浅く大型船が直接接岸できない港湾(喫水制限がある港)において、貨物を効率的に陸揚げするために重要な役割を果たします。メリットとしては、高額な港湾使用料の削減や、港の混雑(バース待ち)の回避が挙げられます。一方で、海上で行う荷役作業は、風雨や波浪などの気象影響を受けやすく、貨物の落下による海洋汚染や、船同士の衝突といった労働災害リスクが高い点がデメリットです。原油やLNG(液化天然ガス)などの液体燃料、穀物などのバラ積み貨物で多く活用されますが、近年は国際法や制裁を逃れるための密輸(違法な洋上転送)を指す言葉としても認知されています。
グリーンロジスティクスの進展に伴い、アンモニアや水素といった次世代環境燃料の洋上補給(バンカリング)技術として「瀬取り」の重要性が再評価されています。環境負荷の低減と安全性の両立に向け、IoTやAIカメラ、ドローンを活用した洋上荷役のリアルタイム遠隔監視システムや、自動係留装置などのDX技術が導入され、事故防止と作業の最適化が進められています。