内航海運業とは、国内の港湾間において船舶を用いて貨物を輸送する事業です。日本の国内輸送においてトンキロベースで約4割、産業基礎資材では約8割のシェアを誇り、社会インフラとして重要な役割を担っています。
内航海運業法において、本事業は運送契約を結び自ら輸送を行う「内航運送業(オペレーター)」と、船舶を事業者に貸し出す「内航船舶貸渡業(オーナー)」の2種類に大別されます。内航海運の最大のメリットは、一度に大量の貨物を低コストかつ長距離にわたり効率的に運べる点にあります。トラック等の陸上輸送に比べ、二酸化炭素排出量が圧倒的に少ない点も強みです。一方で、気象条件による欠航や遅延のリスク、港湾設備への依存度が高く、個別配送のような細かい小回りやスピード対応が難しいというデメリットもあります。
物流におけるドライバー不足や働き方改革への対応を受けたモーダルシフトの有力な受け皿として注目を集めています。船員の高齢化や人手不足への対策として、自動運航技術やAI配船、高速衛星通信による船内DXが急速に進展しています。さらに、グリーンロジスティクスの推進に伴い、EV(電気推進船)や代替燃料船の導入など、環境負荷を最小限に抑える持続可能な輸送体制への移行が本格化しています。