危険物とは、発火や引火、爆発などの危険性がある物質や高圧ガス、毒劇物など、安全上の観点から法令で貯蔵や輸送が厳しく規制されている物品の総称です。物流においては、災害防止のため厳格な保安基準に基づいた管理が義務付けられています。
倉庫業法において危険物は「第七類物品」に分類されます。これには消防法が定める危険物や、高圧ガス保安法で規定される高圧ガスなどが該当し、これらを保管するためには基準を満たした平屋建て等の専用の「危険物倉庫」の使用が義務付けられています。危険物物流は、社会の安全を担保する極めて重要な役割を担う一方、一般的な貨物と比べて設備投資や有資格者の配置、取扱制限などのハードルが高く、保管・輸送コストが割高になりやすいという特徴があります。一歩間違えれば重大事故に直結するため、高度なコンプライアンス遵守が求められます。
EV普及やEC拡大に伴うリチウムイオン電池等の取扱増により、危険物倉庫の需給逼迫が続いています。この課題に対し、危険物物流ではIoTセンサーを用いた24時間自動の温度・漏液監視や、AIによる危険予測、現場の自動化といったDXが急速に進んでいます。また、物流におけるドライバー不足や働き方改革に伴う輸送力不足に対応するため、鉄道や内航船へのモーダルシフトや共同配送の導入が進められており、安全性確保とグリーンロジスティクス(環境負荷低減)の両立が強く推奨されています。