海上運送法とは、日本における海上運送事業の秩序維持と安全確保、および利用者の利便性向上を図るための基本法です。船舶運航事業、船舶貸渡業、海運仲立業、海運代理店業の4つの事業を「海上運送事業」として規定しています。
本法は、四方を海に囲まれた日本において、物資や旅客を安全かつ安定的に輸送するための法的基盤としての役割を担っています。具体的には、定期・不定期航路を運営する船舶運航事業等における許可・届出制度や、輸送の安全管理体制の構築、適正な運賃の設定などを義務付けています。これにより、悪質な事業者の参入を防ぎ、市場の健全な競争環境と荷主・利用者の利益を保護しています。一方で、厳格な安全基準や手続きの遵守は事業者にとって一定のコンプライアンスコストとなりますが、国際的な信頼性を維持するためには欠かせない仕組みとなっています。
海上運送法は、海運脱炭素化(グリーンロジスティクス)やDXの進展に呼応したアップデートが進んでいます。温室効果ガス削減に向けた次世代燃料船の導入支援や、自動自律運航船の社会実装を見据えた安全基準の整備が議論されています。さらに、陸上輸送におけるドライバー不足や働き方改革への対応に端を発したモーダルシフトの重要な受け皿として海上輸送の価値が再評価される中、本法は持続可能で強靭なサプライチェーンを支える法的支柱として機能しています。