実運送とは、自らトラックや船舶などの輸送手段を保有・運行し、実際の貨物輸送を行うことです。自社で輸送手段を持たずに他社の運送網を手配する「利用運送」と対比される、物理的な輸送を直接担う物流の基盤形態です。
実運送を担う事業者(実運送事業者)は、車両やドライバー、運行管理組織を自社で抱え、直接的な輸送責任を負います。この形態のメリットは、輸送品質やスケジュールを直接コントロールできるため、緊急時の柔軟な対応や丁寧な荷扱いが可能な点にあります。一方で、車両の維持費や人件費などの固定費負担が大きく、荷量の変動による稼働率の低下が直接的な経営リスクになるデメリットもあります。現在、日本のトラック輸送の多くは、こうした実運送を担う中小・零細の事業者によって支えられています。
時間外労働の規制強化や多重下請け構造の是正といった法規制への対応から、実運送事業者の重要性と負担が再認識されています。動態管理やAI配車などのDXによる乗務員の労働環境改善、さらにEVトラックの導入や共同配送といったグリーンロジスティクスへの対応が急務です。実運送の現場では、適正運賃の収受とテクノロジーの活用による、持続可能な輸送体制の構築が生存の鍵となっています。