物流ABCとは、物流コストを「検品」や「ピッキング」などの作業(アクティビティ)単位で細分化して算出する管理手法です。従来の勘定科目別管理では見えにくかった、真の作業コストやプロセスの無駄を可視化できます。
この手法では、人件費や設備費などの原価を「どの作業にどれだけの時間や資源を費やしたか」という基準(コストドライバー)に基づいて配賦します。これにより、取引先や商品、配送ルートごとの採算性を正確に把握できるため、不採算業務の是正や、3PL事業者における適正な料金設定の根拠として機能します。メリットは、コストのボトルネックが明確になり、サプライチェーン全体の最適化に直結する点です。一方でデメリットとして、従来は作業時間の計測やデータの収集・分析に多大なアナログ業務が発生し、運用の維持や定期的な更新が難しいという課題がありました。
WMS(倉庫管理システム)やRFID、IoTデバイスの普及、さらにはAGVやAMRといった自動化機器との連携により、作業ログがリアルタイムかつ自動的に収集され、物流ABCの算出負荷は劇的に軽減されています。2024年問題を発端とする人件費や輸送費の高騰に対し、荷待ち時間や荷役作業のコストを精緻に可視化して荷主交渉や業務改善につなげる動きが活発化しています。また、アクティビティごとにCO2排出量を算出する「グリーン物流ABC」としての応用も進んでおり、収益性改善とカーボンニュートラル対応を同時に実現する意思決定ツールとして不可欠な存在となっています。