本船渡条件(FOB)とは、国際貿易における標準的な取引条件(インコタームズ)の一つで、売主が輸出国の港で指定された船舶に貨物を積み込むまでの費用とリスクを負担し、それ以降の海上運賃や保険料、リスクは買主が負担する条件です。
本条件では、貨物が本船の船上に置かれた時点で、費用負担と危険負担(リスク)が売主から買主へと移転します。買主側は船便の選定や運賃交渉を自ら主導できるため、グローバルな配送網を活用して輸送効率やコストを最適化できるメリットがあります。一方、売主にとっては輸出通関や港までの国内輸送、梱包などの費用と責任が生じます。注意点として、FOBは在来船輸送を前提とした条件であるため、現代の主流であるコンテナ輸送においては、コンテナターミナルで貨物を引き渡す「FCA(運送人渡条件)」を利用することが国際商業会議所(ICC)により推奨されています。
近年の物流においては、日本のドライバー不足や働き方改革に伴う国内トラック運賃の上昇を受け、売主側における輸出港までの陸上輸送コスト管理がよりシビアになっています。また、サプライチェーン全体の脱炭素化(Scope 3の排出量算出)が厳格化する中、FOBの責任分界点をもとに、売主と買主の間で輸送時のCO2排出データをデジタル貿易プラットフォーム上でシームレスに共有・可視化するDXの取り組みが急速に進んでいます。