上代(じょうだい)とは、商品の最終消費者向け販売価格(小売価格)を指す業界用語です。メーカーが設定する「メーカー希望小売価格」や「定価」と同義であり、これに対して小売店が卸売業者やメーカーから仕入れる際の価格(卸値)を「下代(げだい)」と呼びます。
上代は、流通プロセス全体における価格設定の基準となる重要な指標です。通常、メーカーと卸、小売店の間では、上代に一定の割合(掛け率)を乗じて仕入れ価格である下代を決定します。この上代と下代の差額が小売店の粗利益となり、そこから物流費や人件費、店舗運営費などが賄われます。上代を適切に設定・提示することは、商品のブランド価値を維持し、市場での極端な価格競争を抑制するメリットがあります。しかし、近年はサプライチェーン全体のコスト変動が激しく、上代(販売価格)を固定したままでは、急増する物流費や原材料費によって中間プレイヤーの利益が圧迫されやすいというデメリットも顕在化しています。
物流におけるドライバー不足や働き方改革への対応を受けた運賃や人件費の上昇、さらには脱炭素化(グリーンロジスティクス)への投資負担に伴い、固定的な上代設定は見直しの局面を迎えています。最新の物流DXにおいては、配送負荷や在庫状況、輸送コストをリアルタイムに反映し、上代(小売価格)を変動させるダイナミックプライシングの導入が進んでいます。持続可能な物流を維持するため、上昇する物流コストを適正に上代へと反映・転嫁する価格交渉と、それを支えるサプライチェーンの可視化が極めて重要になっています。