DAT


DAT(ターミナル持ち込み渡し)とは、インコータームズ2010における貿易取引条件の一つで、売主が指定ターミナルで荷卸しを終えた時点でリスクと費用が買主に移転する、売主負担の重い条件です。なお、現行のインコータームズ2020においては、適用される引渡場所の制限をなくし、より実務に即した形へ発展させた「DPU(荷卸下地渡)」へと改定・統合されています。

旧DAT(および後継のDPU)において、売主は輸出地から輸入地の指定ターミナルまでの運送費に加え、現地での荷卸し費用とリスクまでを負担します。買主側のメリットは、自国ターミナルで荷卸しされた状態から引き取れるため、輸入通関と国内配送の手配に専念できる点です。一方、売主側は不慣れな仕向地での荷卸し作業手配や、その際の破損トラブルなど、大きなリスクと費用を負うデメリットがあります。かつてのDATは引き渡し場所が「ターミナル」に限定されていましたが、取引の実態に合わせて任意の場所での荷卸しを可能にするため、現在のDPUへと移行し、サプライチェーンの設計における柔軟性が向上しました。

港湾DXやターミナルの自動化が世界的に進む中、この「荷卸し渡し」の条件は新たな局面を迎えています。IoTやAIを活用したリアルタイムの貨物追跡と自動荷役システムの導入により、売主が負う仕向地での荷卸しリスクは大幅に可視化・低減されるようになりました。また、日本の物流2024年問題以降、世界的な課題となっている「荷待ち時間・荷役時間の削減」の観点からも、デジタル技術を用いて責任分界点における引き渡しをスムーズに行うことが、サプライチェーン全体の効率化と、CO2排出削減をはじめとするグリーンロジスティクスの推進において極めて重要となっています。

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