ヨーク・アントワープ規則


概要
ヨーク・アントワープ規則(YAR)とは、海難事故などの非常事態において船体や積荷を救うために生じた費用や損害(共同海損)の分担方法を定めた国際統一規則です。条約ではありませんが、世界の海上輸送契約において事実上の標準ルールとして採用されています。

詳細説明
本規則は、船主や荷主などの利害関係者が共同の危険に直面した際、船体や他の貨物を救うために特定の貨物を犠牲にしたり、救助費用を支払ったりした損害を、公平に分担する「共同海損」の精算基準を定めています。国ごとに異なる法律の壁を越え、世界共通の基準で解決を図れるメリットがある一方、精算手続き自体が極めて複雑で完了までに数年を要する場合があり、貨物の留置が長期化しやすいデメリットもあります。実務においては、1990年版という記述は古く、現在は実務的な利便性を高めた「2016年改定版(YAR 2016)」や「1994年版」が船荷証券(B/L)上の約款として広く準拠されています。

海上輸送においてはコンテナ船の巨大化や異常気象による海難リスクが高まっており、共同海損発生時の迅速な解決がサプライチェーン維持に不可欠です。これに対し、ブロックチェーンによるB/Lの電子化や、IoTとAIを活用した貨物状況のリアルタイム把握などのDXが進んだことで、本規則に基づく損害査定や精算プロセスが劇的に高速化し、事故発生時における貨物の停滞期間を最小限に抑える取り組みが進んでいます。

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