概要
保冷車とは、荷台の周囲に断熱材を施し、外気からの熱の伝入を防いで貨物の温度変化を抑える貨物自動車です。厳密には自車に冷却装置を持たない車両を指し、冷却装置を備える「冷凍冷蔵車」と区別されますが、広義にはこれらを総称して呼ばれることもあります。
詳細説明
保冷車の役割は、食品、医薬品、化学品など、急激な温度変化を嫌う貨物の品質を維持したまま輸送することです。あらかじめ予冷された貨物を、断熱構造の荷台に積み込むことで、短中距離の移動であれば一定の温度を保つことができます。メリットとして、冷却装置がないため車両の導入コストやメンテナンス費用が安く抑えられ、車体重量も軽いため燃費性能に優れる点が挙げられます。一方で、自車での冷却機能を持たないため、長時間の輸送や夏場の厳しい猛暑下では内部温度が徐々に上昇してしまうというデメリットがあります。そのため、輸送距離や貨物の特性に応じて、蓄冷剤の併用や、冷凍機を搭載した冷凍冷蔵車との使い分けが必要となります。
コールドチェーンの高度化が進み、保冷車にもDXと環境対応が強く求められています。運行効率化や2024年問題への対応として、IoT温度センサーによる荷台内部のリアルタイム監視システムが普及し、荷主への温度トレーサビリティの提供が標準化しつつあります。また、脱炭素(グリーンロジスティクス)の流れを受け、高機能断熱材の採用による軽量化や、EV(電気自動車)トラックの導入に合わせた省電力な温度維持技術の開発が加速しています。