ハンガー便とは、衣類をたたまずにハンガーに吊るした状態で、専用設備を持つ車両を用いて輸送する物流サービスです。アパレル業界において、商品の型崩れやシワを防ぎ、店舗到着後すぐに陳列できる効率的な配送手段として活用されています。
仕組みとしては、車両の荷台天井部に設置された専用のバーに衣類を直接掛け、輸送時の振動で落下しないよう固定して運びます。最大のメリットは、箱詰めや開封、店舗でのアイロン掛けといった余分な作業工程を大幅にカットできるため、人件費とリードタイムを削減できる点です。また、段ボールなどの梱包資材が不要になるため、資材コストの削減や廃棄物の抑制にも繋がります。一方のデメリットは、積載効率が衣類の形状や丈に左右されやすく、一般的な混載便に比べて輸送コストが高くなりやすい点です。さらに、専用の仕様を施した特殊車両やハンガー台車が必要となるため、配車調整の難易度が高いという側面もあります。
深刻化するドライバー不足に対応するため、ハンガー便は荷役時間を劇的に短縮する有効な解決策として再評価されています。さらにRFID等のデジタル技術(DX)を融合させ、吊るしたままの衣類を一括でスキャンして個体管理や検品作業を瞬時に行うシステムが普及しました。また、使い捨て梱包資材を一切使用しないゼロ・ウェイストな配送手法として、アパレル企業のグリーンロジスティクス推進(脱炭素化)にも大きく貢献しています。