パイプラインとは、原油や天然ガス、水などの流体を長距離にわたって効率的に輸送するために敷設される管路のことです。それ自体が一度に大量かつ安定した輸送を可能にする、極めて公共性の高い「輸送機関」として位置づけられています。
パイプラインは、天候や交通渋滞に左右されず、24時間体制で連続輸送ができる点が大きな特徴です。トラック輸送に比べて運行コストやCO2排出量を劇的に削減できるメリットがある一方、莫大な初期投資が必要なことや、ルートの柔軟性に欠けるデメリットがあります。米国など広大な国土を持つ国では、鉄道やトラックに匹敵する主要な輸送手段として機能しています。一方、日本は地震が多く海上輸送が発達しているため限定的な運用に留まりますが、近年は物流の担い手不足(ドライバー不足や働き方改革への対応)への対策として、道路の地下などに専用のトンネルを掘り、自動運転カートで貨物を運ぶ「自動物流道路(物流パイプライン)」の構築が本格的な検討フェーズに入っています。
脱炭素社会の実現に向けて、水素やアンモニア、SAF(持続可能な航空燃料)といったクリーンエネルギーを輸送する次世代パイプラインへの転換が進められています。また、先端技術の導入も活発で、IoTセンサーやAIを用いた自動監視システムの導入により、微小な漏洩の早期検知や予防保守(プレディクティブ・メンテナンス)が自動化され、運行の安全性向上と省人化が両立されています。