「NOx法」(正式名称:自動車NOx・PM法)とは、大都市圏における自動車の排気ガスによる大気汚染を防ぐため、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出基準を満たさない車両の登録・使用を規制する法律です。
1992年制定の「自動車NOx法」を前身とし、2001年の法改正によって粒子状物質(PM)が規制対象に加わりました。首都圏、愛知・三重、大阪・兵庫などの特定地域において、排出基準をクリアしていないトラック、バス、ディーゼル乗用車等の使用や登録を制限する「車種規制」が主軸となっています。また、対象地域内で一定台数以上の車両を保有する特定事業者には、排出抑制のための自動車使用管理計画の提出が義務付けられています。本法は大都市圏の大気環境改善に大きく貢献した一方、事業者にとっては排ガス基準適合車への代替(買い替え)に伴う多額の車両投資や、非適合車両の進入制限に伴う配車・運用上の制約といった負担が生じました。
物流業界はドライバー不足や働き方改革への対応に伴う深刻なリソース不足と、中長期的なカーボンニュートラルの実現という二大課題に直面しています。この中で自動車NOx・PM法への対応は、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)といったゼロエミッション車へのシフト、さらにはAIを活用した配車管理システム(TMS)による運行効率化や共同配送の推進といった「物流DXによる総走行距離の削減」と不可分になっています。環境規制への適合は単なる法令遵守にとどまらず、グリーンロジスティクスを推進し、持続可能な輸送体制を維持するための経営戦略そのものとなっています。